学園(姫)

俺は裏庭に向かった。

そこで、龍先輩が一人で食事をしている。

「先輩」

「丞」

俺だと気付いた先輩が、顔を上げる。

「隣、いいですか?」

「構わぬ」

周囲に乾の姿はない。

きっと、物影からでも見ているんだろう。

「教室で食べないんですか?」

「外の方が、美味しく感じる」

「吟ネエとは一緒に食べないんですか?」

「あやつの寝てるところを邪魔は出来ぬ」

「なるほど」

休憩時間ぐらいは休ましてやろうという気遣いだろう。

「そなた、昼ごはんはどうした?」

「あ」

龍先輩を探すのに必死で、昼飯を買うのを忘れていた。

「また、ワラワを探しておった、か?」

先輩自身も、薄々は勘付いてはいるだろう。

そりゃ、何度も先輩に会いにいってたら、気付くさ。

鈍感な人間はいるけれど、先輩は相手の事を気遣えるほどのお人だ。

だから、解らないなんて事もない。

「そうですね」

素直に答える。

「俺は、先輩といるのが楽しいんですよ。だから、ついつい探しちゃうって、ね」