学園(姫)

先輩はどこか。

吟ネエなら知ってるかもしれない。

行ってはみたが、三年の教室にはいない。

多分、屋上だろう。

予想通り、屋上に設置された扉の上で横になって寝ていた。

「なあ、吟ネエ」

「んー」

授業をサボっていたのかもしれない。

眠そうな声を上げた。

龍先輩の行方は知らないんだろうな。

「龍の行方が知りたいアルか?」

見透かされてる。

いや、最近の俺の行動を辿れば、誰だってわかるだろう。

「そうだ」

「お前も、隅におけないアルな」

寝たままで、あまり興味もなさそうな声を上げた。

「で、知ってるのかよ?」

「キス一回」

「悪い、自分で探すわ」

長いする事で、どれだけ危険が及ぶか分かったものではない。

「龍が好きなら、多少なりとも痛い思いをする覚悟はしておくアルよ」

俺が屋上から出ようとしたところで、吟ネエの声が聞こえてくる。

「何だ、そりゃあ?」

「あそこの家は自分の事で精一杯の堅物でいっぱいアル」

「何だ、吟ネエは龍先輩の家の事情を知ってるのか?」

「裏庭で食べてるアルよ」

答えをくれない代わりに、居場所を答えてくれた。