「……あい、り? 愛梨、だろ?」

涼は言ったんだ。
確かに今、アタシの事“愛梨”って…。


それに、今の彼は小さいころと違って、とっても綺麗になっていて、声だって変っていた。


でも、異常に痩せていて、スグに倒れそうだった。


「…覚えていてくれたんだね。 良かった…」
今にも崩れそうな心を、アタシは必至に支えた。


「忘れるワケねえだろ? 俺はずっと愛梨を思ってた」
透明で頑丈なプラスチック越しに、涼の震えてる声が伝わってくる。


………泣きたいのはこっち。
何で、何でっ……


「…何で、麻薬なんかに手を伸ばしたの?」
その瞬間、彼の目が変わった。

アタシを見てる目は冷たくなり、背筋を凍らし、嫌に鳥肌が立った。


一瞬で思えた。
怖い。 この人は昔の彼なんかじゃないって。


バンっバンっ


正直驚いてる事しか出来なかった。


目の前で、彼が頑丈なプラスチックを思いっきり殴りだしたんだ―――…。