南城日向の手がアタシのお腹に回ってて……

そして、アタシの背中に南城日向の体温が伝わって……


アタシ……抱きしめられてるの?


でも今は、この温もりが一番いいのかもしれない。


南城日向の胸の中は、とても居心地が良かった。



穂のかに香る甘い香水の匂いが、アタシの凍った心に溶け込んで来て―――…
こんな時なのに、場違いに体温が上昇する。


「……俺に笑いかけて見ろや」
こんな時なのに、場違いに胸がキュンっとする。


「……泣いてるお前、らしくねえよ」
こんな時なのに、場違いに鼓動が高鳴る。