広いグランドの丁度真ん中に、黒いテカッテカの長いリムジンが止まってて。
……昨日と同じ様な光景。
その車でアタシは昨日、強制連行されたんだよ。
「どした? 立ち止まって」
立ち止まってるアタシに振り向き、不思議そうな顔をアタシに向けてる魁人。
……まあ、お家で1人よりも、みんなでいた方が楽しいもんね。
「ううん! 何でもない!」
魁人の元に駆け寄り、黒いリムジンに乗り込んだ。
リムジンの中はやっぱり、甘い香水の匂いでいっぱいで。
その匂いが、変な緊張を溶かしてくれた。
倉庫に着くまで、黙って見慣れない、流れる景色を楽しんでいた。
おととい、ここに引っ越して来たばかりだから……。
それも、結構遠い場所から。
まあ、大きいビルがあちらこちらに建ってるこことは違い、アタシが前いた場所は、そこら中田んぼだらけの、ド田舎だった。
だから、ここの景色は見てるだけでも楽しい。

