だけれど、ちょっと調べてみるくらいなら良い暇つぶしだ。

ファイリは部屋の隅に置いてある、とてつもなく大きな帽子を被る。
髪の毛を押しこみ、部屋の扉を開けた。

「家の中でも帽子だなんて」
ファイリはブツブツ言いながら廊下を歩く。

ファイリの家族でさえも、青い髪を嫌がるのだ。
だから家の中でも、こうして帽子を被る。

「どうして青の髪がダメなのよ!確かに青い髪の人、自分以外に見た事なんて無いけどさぁ!!」

誰もいない廊下で叫ぶ。

ファイリが住む塔には家族さえ滅多に寄りつかないのだ。
誰か来たとしても、まるで探検でもするかのように大人数でゾロゾロとやって来るのだ。
先程の母親達にしてもそう。

それはファイリを恐れるが故なのだろう。

でもファイリはそれに慣れ切っていた。
人と一緒じゃなくたって、一人きりだって、生きていける。