「早く行くぞ!」 私の家の前で自転車にまたがって、 私を待っている亮ちゃんが叫んだ。 私は荷物とギターを持って、ローファーの踵を踏み、 バタバタと亮ちゃんのうしろに飛び乗った。 「髪ぼさぼさだぞ。」 そう言って、亮ちゃんは振り返って手ですいてくれた。 「そんなのいいから早く出して!」 私は遅刻の事しか頭になくて、 亮ちゃん優しさに こんなことしか言えなかった。