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誰もいなくなった部屋



俺は一つのファイルを手に取り
中を開く



『イベント参加者名簿』
と書かれた紙の


一番下…


細くキレイな字に目を止める


【文学部三年 新井 紗季】



そっと文字に触れる


芳史に差し出されたこの用紙に
恥ずかしそうに
でも

真剣な眼差しで
名前を書き込む姿が浮かび


同時に

芳史を見てハニカム彼女が
心を締め付けた




きっと
彼女が…

芳史の

好きな女


おそらく

彼女も

芳史が…




……


………


「バカらしい。
何やってんだ俺は…。」


浮かんだ思いを消して
ファイルを閉じた