「でも…
私…昨日、
河野先輩のうちに泊まったんですか?」


「ああ。
どうしようもなくて
そのまま連れてきたんだ。

あ、でも
何もしてないから…。
そこは、保障するよ。」


フッとほほ笑む先輩に
つられて私もほほ笑んだ



それから

先輩の作ったご飯を食べて


仕事先の本屋まで送ってもらった




「…なんだか
色々ご迷惑をおかけしました。」


車を降りて
頭を下げる


サイドウィンドウを開けて
先輩が中から覗き込んだ



「気にするな。
それよりも
何かあったらすぐに連絡してかまわない。


だから
無理だけはするなよ。」


まるで
お兄ちゃんの様な
父親の様な温かさを含んだ言葉に


幾分気持ちが軽くなるのを感じた


「はい。」

流れるように走り出した
車を見送りながら

私は

ゆっくり本屋に向かった