早川の出て行った
扉を視界に写して



最後に見せた
悔しげな表情を芳史に重ねていた



芳史…


怒ってるか…?



俺の本心を知って


呆れてるか…?


傷ついてるか…?



でも

お前に勝つには
こうするしかないんだよ




だって

お前はもういない…



紗季ちゃんの心を連れたまま
届かない所へ行ってしまった


これじゃ
フェアじゃないだろ?


だから
俺もフェアじゃないよ…



悔しかったら

戻ってこいよ…



ふざけんなって

殴れよ…



「バカ野郎…。」


つぶやいた先
零れ落ちた滴をそっとぬぐった