「そうだなぁ。ショクジ以上の事をされると俺も困るから…」



暫く考えてから



「俺の目の前でダケなら
許してやる」


「はぁ?」


「要するに、俺の見てる前でならショクジしてもいいっていってんだよ」



ぐったりと全身をオヤジに預けるジュンの髪を自分の指先にクルクルと巻きながらオヤジは俺をジッと見ていた。



「思春期ってやつ?ぁ、違うか…発情期だ!なぁ、ハル」



喉を鳴らして笑う様はいかにもヒトナラザルモノの風貌で、マントでも着ければそれこそ…



「バンパイアってさぁ…実は結構いるんだよねぇ」



ソファーにジュンを寝かせながらオヤジは言葉を紬いだ。



「俺らみたいな純血は少ないんだけど、混血?ハーフとかどっかで交わりのあったヤツってのは意外とゴロゴロしてるんだよ。で、無意識に血を求めてる。厄介だよなぁ!」



厄介とは言いながらもオヤジは楽しそうに口元を歪ませてジュンの頬に指を伝わせている。



「ジュンは見た目こんなんだし、その上獲物の匂い垂れ流しじゃん?今までも何回も狙われてるんだよ…当人は気付いてないみたいだけどね。」



プニプニと唇をつつくとジュンは小さな声を上げた。



「可愛いなぁ…。いっそ鎖に繋いで監禁しちゃおうか?そしたら危ないめにも遇わないし、他人の目に触れる事もないもんね」



ね?っと俺に同意を求めて(求められても困るが)オヤジは立ち上がった。



「なぁ、オヤジ?」


「ん?」



ようやく身体に自由がきくようになった俺は



「狙われるって…血だけ?」



疑問をぶつけてみる。

血を求めるのはバンパイアだけではないのだろうか…
だとしたら、《他種族》はナニを求めるのだろうか…



『彼女は美味しそうな…』


アルのあの言葉が引っ掛かる