The ring is a cupid




「嘘!?何で?どうして?」


昨日あった一部始終を話すと、やっぱり理沙と朋ちゃんは質問攻めだった。


野山にもちゃんと伝えた。


良かったじゃん。
そう言って笑ってくれた。



自分でも、夢なんじゃないかって疑ってしまう部分があったけれど、今日の朝斉藤くんと会った時、手を繋いだ時。

ああ、付き合ってるんだなーって実感した。







「帰ろう」

放課後、手をこちらに差し出しながら笑った斉藤くんを見て、思いだした。



「指輪───…」


「指輪?」


うん、と頷いて首にかけていた指輪のネックレスを首から外す。


ブチッ。



「えっ!?良いの?ひも、ちぎれちゃってるけど」


大きな瞳が、私とちぎれたひもを交互に見つめた。


「本当に愛してる人が出来た時にね、ひもをこうやって引き千切って、指輪を1つずつはめると、永遠に幸せになれるんだって」


彼の掌に指輪をのせる。


「つけて…くれる?」


そう聞くと、優しく微笑んで、斉藤くんは右手の薬指にその指輪をはめた。


「貸して」


そして、私の右手の薬指にもきちんとはめてくれた。


「何か結婚式みたい」


キラキラと光る指輪を見ながら、呟く。


「はは、ちょっと照れるかも」


顔を両手で隠す。


その大きな彼の手にも、もちろん光る指輪があった。