俺達はアンティークな家具が印象的な落ち着いた部屋に案内された。

テレビもなく世の中の雑踏から隠れるようにひっそりと静かに過ごせる落ち着いた部屋だ。

俺はベッドの端に座ると、部屋を一通り見て回り嬉しそうに俺の元へと戻ってきた杏の手を引いて抱き寄せた。
子どもの頃から俺が引き寄せると当たり前のように膝に座った杏。

ここ数年は俺が意識してそうさせなかったせいもあり、久しぶりに感じるその柔らかさとぬくもりに胸がざわめいた。

もっと触れたい衝動に駆られ髪を剥き、そのまま首筋を滑り背中を擦るようにして抱きしめた。

杏はピクンと跳ねるように身体を固くして、俺にされるがままおとなしく腕の中に収まっている。

ペンションに到着した頃から杏がいやに大人しくなっていた事が気になっていた。

何と言うか…

緊張している?