そのまま手の平を甘噛みしてみる。

とたんにビクッと体が雷にでも打たれたかのように、大きく跳ねた。

自分の反応に驚いてあわてて手を引っ込めようとする杏。

愛しくて思わず悪戯心を起こして指を軽く噛んでみた。

「…あ、暁?……やっ」

初めて聞く杏の甘い声

杏の息が乱れたのを感じて体が熱くなっていく。

「杏…返事は?ちゃんと聞かせてくれよ。杏の口からちゃんと聞きたい。」

杏の瞳が俺を捕らえる。艶やかに微笑むその顔はもう少女ではなく俺が焦がれた女の顔だった。

「あたしは暁のお嫁さんになるってあの日からずっと信じてたわ。」

溜息を付くように甘く響く媚薬のような杏の言葉…。

どんなに望んだだろう。杏の甘い声を

「ずっと暁と結ばれる為に生まれて来たって思っていた。」

杏の声が香りが俺を絡めとって離さない。


心が溺れていくのがわかる――


もうおまえ無しではいられない。


二度と…絶対に離さない。