暁が百合子さんと別れたと言った。

驚いたけれど正直嬉しかった。

でも暁の次の言葉を聞いて心が凍り付いてしまった。

『どんなに忘れようとしても俺の一部になってしまっている大切なものを忘れることなんて出来ない』

暁にはそんなに想っている人がいたんだ。

百合子さん以上に…。

やっぱりあたしは、ずっと妹のままで暁に触れることすら出来ないのね。

…もう、限界だよ。

暁とこれ以上いると苦しくて息も出来ない。

頬を滑る暁の指はこんなに優しくて、あたしを愛してくれていると勘違いしそうになってしまうよ。

お願い。もう優しくしないで。

不意に頬に触れていた暁の指が唇に触れた。

愛しさとか、切なさとか、自分の中にある暁に対する想いが堰を切ったように溢れ出す。

何故…あなたを愛しいと想う気持ちを捨てられないんだろう。