【中編】夢幻華

笑いこける杏を横目でみながら、見えてきた目的地へと車を寄せて止めると杏から携帯を奪った。

苦笑いをしながら。軽く深呼吸して次の大音量に身構える。

「一応聞いてるよ。右京父さん。」

『暁!!杏を連れてすぐに戻れっ。まだ嫁にはやらんっ!!』

……話が終わるまで俺の鼓膜、無事で済むだろうか

「だ~か~ら~!予約だって言ったろ?今すぐ何て言ってねえよ。そう興奮すんなって。」

『だって、おまっ…今夜杏とふたりっきりで…ごにょごにょ……ってなったらどうすんだよ。』

「あんだよ、そのごにょごにょってのは。右京父さん俺の事信用してないんだ?」

「してねえ。おまえ晃の息子だもん。ぜって~我慢できねえと思う。」

……そんなハッキリと言わなくてもいいじゃねえか?

しかも、父さんの息子だからって…なんだよその理由。そりゃないだろ?

『右京いいじゃない暁なら。』

蒼母さんの声が受話器のそばで聞こえる。


きっと右京父さんを宥めてるんだ。