【中編】夢幻華

「杏、あんずっ。出かけるぞ」

「暁?もう話終わったの?」

「来い。一日早いけど今すぐに出発だ」

杏と一緒にソファーに座っていた蒼母さんにむかってウインクを飛ばす。

「蒼母さん、杏つれていくよ。右京父さんにはもう許可貰ったし…」

「こら、暁待てよ!だれも許可なんかしてないぞ!」

「やべっ!杏、行くぞ。急げ!」

俺は戸惑う杏の手を取ると急かすように連れ出し車に乗せた。

部屋の奥から右京父さんが何か叫んで追いかけてきたけど、無視してエンジンをかけ、サイドミラーをチラッと見る。

あちゃ~、右京父さんカナリ頭に血が上ってるな。

まあ、しょうがないだろうけど…

「杏、逃げるぞ」

そう言うとアクセルを踏みこんだ。

タイヤが鳴りエンジンが爆音をたてて車は一気に右京父さんとの距離を引離した。

杏は小さくなっていく自分の家と父親をみつめて小さく溜息を付いた。

「パパから逃げるって…暁何かしたの?」

「ん~~~。した…っていうか言った」


「何を言ったの?あんなに動揺したパパを見るのは初めてよ」


杏に告白する前に結婚の予約をした何て…



言える訳ねえよな。