【中編】夢幻華

人生の終わりに母さんと再会する事を願ってその日の為だけに生きる。

散るためだけに咲く花の様に、父さんの生き方は綺麗で…哀しかった。

父さんは今、陽だまりの中に住む人のように、暖かな家庭で幸せを築いている。

母さんが父さんに望んだ幸せの通りの穏やかな家庭を静かな時間の中で育んでいる。

母さんが死んだ時、後を追うことも考えていた父さんが、思いとどまったのは俺の存在があったからだと聞いている。

確かに昔は父さんの生きる希望の全てが俺だったと思う。


…でも、今は違う。


朱音もいるし、陽歌母さんもいる。

俺は俺の生き方をしても良いよな…。

俺がこの家を出て行くことになっても、反対しないよな。


昔は一人の女性だけをあれだけ深く激しく愛する事が出来る父さんって、すごいと思っていたけど

…俺もやっぱり父さんの息子だったって事かな。


「なあ、父さん…ちょっと相談があるんだけど…いいかな?」