【中編】夢幻華

「なあ?父さんさ、朱音を嫁に出せる?」

「何だいきなり。でもそうだな…。ん~~やっぱり無理だろうな。絶対に。お婿に来てもらわないとムリだと思うよ。」

「男親ってそんなもんなのかな?」

「なんだよ暁。まるで嫁を貰いに行くみたいだな。」

笑いながら朱音をあやす父さんを見ていると、かつてたった一人の女性だけを頑なに愛して、切ないほどの想いを十数年も胸に抱き続けてきた男性には見えない。

あの頃、父さんは張り詰めた糸みたいに届かない想いを胸に秘めて、いつも夢の中の母さんと話していたっけ。

俺は子供心に父さんがすごくかわいそうだった。

神様はどうして母さんを父さんから取り上げてしまったんだろうって、凄く神様を恨んだ事があったのを思い出す。