「好きなところへ連れて行ってやるよ。どこか遠い所へ行こう」

俺は杏と2人きりになることを長い間避けてきた。

杏に自分の気持ちを抑えきれなくなって告白してしまう事が怖かった。

愛しさが募って、離せなくなることが怖かった。

杏が16才になるまではどんな事があっても耐えようと思っていた。

いや、16才になっても、杏が俺を兄のように慕っているうちは決して思いを告げようとは思わなかった。

だが、誕生日に思いもかけない杏からのプレゼントのお願いに俺の気持ちが揺らいだ。

このまま杏を遠くへさらって2人きりでいたら…

杏は俺を男として好きになるだろうか?

もしその胸元に俺の痕をつけたら…

杏は俺を愛してくれるだろうか?

おまえに思いを告げたら…

おまえは答えてくれるだろうか?


「最高の誕生日にしてやるよ。杏」

俺は出来る限りの優しい笑顔で杏に微笑んでその頬に手を触れた。

そっとキスするように想いをこめて…

俺がそうすると杏はいつも受け入れるように瞳を閉じる

俺のキスを受け入れてくれるような錯覚に襲われ目眩がしてくる

杏…こんなにも愛しい