【中編】夢幻華

杏が俺の事をそんな風に見てくれていたなんてちっとも知らなかった。
俺と共に歩く未来をずっと前から考えて幼いながらもその道を摸索していたなんて、驚くと共に嬉しさで胸がいっぱいになった。

「昨日暁があたしを愛してくれているってわかった時は、凄く嬉しかった。あたしは暁のとなりで同じ夢を追って良いんだって感じたから。
パパ。あたしは暁と同じ物を見て同じ目的を持って一緒に歩いていきたいの。
結婚はまだ先でも良いわ。暁が医師免許を取ってちゃんとお医者様になって、晃君と一緒に病院を運営しながらちゃんと研究が出来るようになるまで待っていても構わない。何年だって待つわ。」

杏が子供だなんて今までどうして思っていたんだろう。

こんなにしっかりとものを考えて未来を見て、俺との将来を考えている。

こんなに純粋に真っ直ぐ俺を愛してくれる杏に俺はどう想いを伝えたらいいだろう。

この溢れ出る愛しさと、喜びと、俺を愛してくれる杏の純粋さに感謝する気持ちを伝える言葉を探すのは難しい。

だけど精一杯の想いを伝えたかった。