【中編】夢幻華

「くそっ…ああもう、わかったよ。認めりゃ良いんだろう?杏もう泣くな、わかったから。」

右京父さんが渋々俺達を認める発言をした。
杏の涙のパワーってすげぇ。確かに俺も杏に泣かれるとすげぇ弱いんだけどさあ。

「本当に?パパあたし暁のお嫁さんになってもいいの?」

杏の嬉しそうな声に、右京父さんが少し苦しげに、それでも優しく微笑んだ。

「ああ、暁はお前を昔から誰より大切にしてきたのは知っているからな。色々言いたい事はあるが、暁は半分は我が家で俺達が育てた子供だ。
育てたからには責任があるからな。最後まで面倒見てやるさ。」

……最後まで面倒見てって、なんか俺、捨て犬か捨て猫みたいじゃないかっ!

でもま、いっか。とりあえず認めてもらったんだし。
…って、すげぇお気楽だ。こう言う考え方ってもしかして父さん譲りなんだろうか。

「右京も認めたことだし、結婚式はいつにしようか?ねぇ蒼」

「んーそうねぇ。いつでも良いわよ。何ならすぐに籍だけ入れちゃう?」

……え?
ちょっと早すぎないか展開が?

「まーだだっ。まだやらんっ!一応暁のことは認めたけど結婚はまだ早すぎる。せめて高校は出てからでないと。」

そうだよなあ。まだ高校生なんだから、早まっちゃまずいだろう?杏だってまだやりたい事はあるだろうしさ。

「今すぐにとは言わないよ。とりあえず俺が大学を出てちゃんと医者になってからだろうな。」

「なっ…暁!お前そんなに杏を待たせるつもりなのか?ふざけんな!杏が可哀想だろうが。」

……結婚させたくないのかさせたいのか…

どっちなんだよ、右京父さん。