ペンションを出てから紅葉を見たり周囲を観光して一日を過ごした俺達が、右京父さんの雷を覚悟して沖崎家へ戻ったのは夜の7時過ぎだった。

戻った俺達を先ず出迎えてくれたのは俺の妹の朱音だった。

駆け寄ってきて思いっきりジャンプしながら飛びついてくる朱音を受け止めるとただいまのキスをする。

「おにーたん、あんずたんおかえりぃ。」

満面の笑みで迎えてくれた朱音に土産のぬいぐるみをやると大喜びで陽歌母さんの元へと走って行った。
嬉しそうにぬいぐるみを陽歌母さんに見せている朱音を微笑ましい思いで見ていると、陽歌母さんと蒼母さんが俺にウィンクをして見せた。

あれは無言で上手く言ったのかと聞いているんだろう。

こんな時は双子になるんだよなぁ、この二人。

陽歌母さんは蒼母さんの双子の妹である俺の母さん『茜』の魂を宿している。
いわゆる生れ変わりっていう奴なんだろうか?
少し違う気もするけれど、陽歌母さんの中には確かに『茜』が存在する事をこう言うときにはっきりと感じる。

苦笑いをしながら肩をすくめる俺に『あら?そうなのやっぱり一度じゃダメね』などと小声で呟く蒼母さん。

……言葉もねぇよ。