その夜、俺達は同じ夢を見た。


瞳を閉じても瞼の裏に鮮やかに浮ぶ無限に広がる宙と満天の星。

その輝きさえも掻き消してしまう、一瞬だけの幻の華。

俺の隣りで微笑んで夜空を見上げた幼い杏が俺の頬にキスをした。


――あんず、さとるのおよめさんになるよ。ずうっとそばにいるの――


その瞳の輝きは、永遠に心に刻まれて色あせる事無く俺の心に息づいてきたものだ。

幼い二人の手をしっかりと繋いだ10年前の夏。

夏の最後の花火が大きく華を咲かせた下で交わした幼い約束が、今ようやく実を結んだ。

すれ違い続けた心を再び結ぶように繋いだ手は二度と離さない。

決してこの恋が消える事のないように心に咲き続ける炎の華に何度でも火を灯そう。


やがて朝がくる。


長い長い夢の夜が終わる。


朝日を浴び永遠に咲き続ける未来に咲く華を二人で育てていこう。


夢に咲いた幻の華が星空に散り、金色の朝日が差し込む時


共に歩き始める新しい人生が幕を開ける。



++『夢幻華』夢に咲く華Fin++


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