「ずっと傍にいる。お前だけを愛してる。何度でも言ってやるよ、杏が信じられるまで。」

「信じていないわけじゃないの。暁があたしを大切にしてくれているのは良く分かっているもの。…だけど、その…あたし、初めてで…今まで暁が付き合ってきた人みたいにちゃんとできないし、そんなあたしを見て暁が呆れちゃったらどうしようって思ったら怖くて…。」

……それって、俺の気持ちを疑うとかじゃなくて、今夜の事を怖がっているって事だろうか。

杏の顎に指を沿え上を向かせると、宥めるように優しいキスをする。

不安を少しでも拭い去れるように、ゆっくりと心を解(ほぐ)すように何度も啄むような軽いキスをした。

杏の身体から少しずつ緊張が解け俺に身を預けてくるのを感じて、更に強く抱きしめると唇の間から舌を滑り込ませて口内を貪った。

今日何度目のキスだろう。

10年分…いや、杏が生まれたあの日から心に温め続けた想いの全てを伝えるように唇を重ねる。

触れる指先から、唇から、熱の伝わる全ての場所から俺の気持ちが届くようにと想いを込めて抱きしめる。

杏は震える指で俺のシャツを握りしめていたが、やがて俺の背中へと腕を回した。

キュ…と抱きしめる指が微かに震えている。


それが俺の身体に火をつけた。