陸が手帳を拾い上げる姿を見て、左端を歩いていた少女、真空(マソラ)が眉をしかめる。

「え~、落ちてたの、汚くない~?」

真空は割と神経質なたちだ。

「ダイジョブ、汚れてないっ」

陸は言い切ると、手でパンパンと手帳の表紙をはたいた。

確かに手帳は汚れてはいなかった。

美しい光沢を放つ、黒い革の手帳。

陸が中を開こうとすると、

「え、手帳は見たらまずくない??」

真ん中を歩いていた少女、蒼海(ソウミ)が声を上げた。