「好きになるはずなかったのに」



「あの……円谷さんのそういう考え、とてもかっこいいと思って。

 写真の事を大切に想っているのがとても伝わって……

 お礼を言いたいのは私の方です」


露子は、落ち着きを払った様に見せるのに必死なのと

この写真を撮った人間に、自分の感想が伝わる様にと

真剣だった。


二人の間に微かな沈黙が訪れた。


『何で?何でこの人喋らないの!?』


そう思いながら、この静けさの対処法として

目を反らし、写真に目をやるという技に出た。


すると

「……君は……」


円谷が言いかけた途端


「つゆーー??」


馴染みのある声が、館内に、ありえない声量で響いた。


冬実はきっと化粧直しをしていたんだろう

少し粉吹いていた。