「好きになるはずなかったのに」


「ご……ごめんなさい!勝手に変な……えーと……妄想してしまって!

 世界観を犯してしまった様な発言をして……

 それに!えっとえっと……!!」


露子は称揚の言葉を探すのに必死で

自分が今、どんなに滑稽に頭と目をぐるぐるさせているかなんて

思いもしなかった。


するといきなり、がしりと

頭を両手で捕まえられた。


「捕まえた!あはははは!!

 大丈夫ですよ。僕は凄く嬉しいと思ってるんですから」


露子はますます真っ赤になり、自分の穴という穴から蒸気がでるのではと思った。

だってそうだろう。

この男、円谷の容顔は驚くほど美しい。

それに、まだ自分の頭をしっかりと押さえつける彼の袖から漂う

金木犀みたいな香りに顔つきがとろんとして、

ついつい息を思い切りすってため込んでしまいたくなるのだ。


「う……嬉しい?ですか?」



「はい。とっても」


にこりとして、彼はやっと露子の首がすわったことを確認して

解放した。