Kiss★恐怖症

直樹の声に、あの直樹のお兄さんらしき人が、そのままの状態で首だけ後ろを振り返る。


そして。


「よ。"兄貴"」


そう言いやがった。


「え…兄貴…?」


直樹のことを兄貴って……っ!?


じゃあ、直樹の弟!?


私、騙されてたの!?


…だから、そんなところって言ったんだ。


弟なのに、お兄さんとか言ったから―…。


「春樹(ハルキ)…てめぇ、星蘭に何してんだよ!!」


コップを横にある棚の上に起き、直樹の弟である春樹のもとへ。


そして、私を春樹から引き離す。


ぱっと手を離す春樹。


「別に倒れそうになったのを助けただけだし」


「嘘つけ!!完全に、抱いてただろ!!」


「まあ、確かにそのままずっと抱いてたけどね。かわいかったから」


にやっと笑う春樹に、腹を立てる直樹。


「星蘭!何もされてないか!?」


私の肩を掴む。


「う、うん…。でも!助けてもらったのは、本当だからね」


だから落ち着いて!ね!?、と直樹をなだめる。