「ふぁ~…おぅ…やっと来たか」


目を擦り、手をあげて背筋を伸ばす。


やっぱり、私待ちか。


わざわざ、自転車にまで乗って。


「おはよ、星蘭」


「え、あ、おはよう」


爽やかな笑顔につられて挨拶をしてしまう。


なんと言いますか。


なぜか、憎めないこの感じ。


「よく私がこの時間に来るって分かったね」


「いや、結構前から待ってた」


「え!?何時!?」


「えっと―…6時30分ぐらい?」


「ろ、6時半!?」


今、8時ちょっと。


ってことは、1時間半も待ってたの!?


「そ、そこまですることないよ。所詮、"フリ"なんだしさっ!ね?」


そう、所詮は"フリ"。


それに学校の外まで、徹底的にする必要はない。


私も気を使うし、直樹も逆方向から大変だし。


学校だけで、いいんじゃないかなって。