Kiss★恐怖症

「あのさ…星蘭が困るようなことはやめてくれよ」


「そんなのわかんないよー?僕のことを好きになれば迷惑じゃなくなるもんっ」


にこにこしている兄貴に腹が立つ。


全部、自分の都合の良いように持っていく。


何度言っても聞かない。


「何回もうるせーよ。絶対渡さねーつってんだろ」


「直ちゃんがそこまで本気になるなんて、初めてじゃないっ?」


そうだ。


兄貴の言う通り。


ここまで本気になっている俺は初めてだ。


だから。


渡すわけにはいかない。


長い片想い歴の俺をなめんなよ。


「関係ねぇだろ。しつこいんだよ、兄貴も春樹も」


「恋はそんなもんなんだよっ。奪ったもん勝ち」


"奪ったもん勝ち"


俺はこの言葉に苛立ちを覚えた。