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「どうかした?」



隣に座る綾斗が聞いてきた。




今日は何の日か覚えてる?

私の誕生日なんだよ!?

おめでとうって言ってよ。



そう、言えたらいいのに臆病な私はそうとも言えず…



「ううんっ!ちょっと酔っただけだから大丈夫」



なあんて、嘘をついてしまう。



「寝ていいぞ、肩貸すから、な?」



「ありがとう」




綾斗に甘えて綾斗の肩に頭を乗せた。






いつも子供を宥めるように語尾を上げる声が好き。

ポンポンって頭を撫でてくれる手が好き。

寂しい時、悲しい時、抱きしめてくれるその腕が好き。

大学受験が成功して受かって喜んで笑ったその笑顔が好き。



目を閉じるといろんな綾斗を思い出して


「好き」という感情を改めて感じた。




綾斗と過ごすたびにどんどん好きになる。



綾斗がいない生活はどんなもんなんだろうと考えるけれど、




全く想像ができなかった。





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