そんなことを思ってる時に、僕の隣を1匹の綺麗な毛並みをした、真っ白な小柄の猫が、通り過ぎて行くのを目で追っていた。

……野良猫かな…痩せっぽちだしな。



その猫は、スルリと平然に遮断機をすり抜けて行くのを見て、僕はギョッとした。


せっかく、第1志望校に合格して、気分良く帰る時なのに、目の前で猫が電車に引かれるのを観るなんて…たまったもんじゃないっ!


僕は、遮断機を抜けると、白い小柄の猫の首の後ろを掴むと、ひょいっと軽々持ち上げて、そのまま遮断機を抜け出した。


「お前!馬鹿じゃねぇのかっ!?」
抱きしめながら、猫に一喝した。


猫は、ビクッと身体を震わせたので、頭を撫でてやると、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。


よく見ると、コイツ…左右の目の色違うのな…。右目が、水色で…左目が、緑色だ…。


「僕が居なかったら、お前死んでたぞ…」


《カンカンカン……》


遮断機が、ゆっくりと上がって行くのを見て、僕は猫に呟いた。