「先生、花火も終わりましたし、私帰りますね」


そう言って背を向けた猿飛に、俺は言った。



「…ほら、少し目ぇつぶってろよ?」


「…?」



素直に目を閉じる猿飛に、花火の前に買った“あるもの”を送った……


しばらくして目を開けた猿飛は、これでもかっていうくらい驚いていた。



「桜のネックレス…?」


「どう?気に入った?」



俺が猿飛に贈ったのは、雫のガラスの中に桜の花びらが入ったネックレス。


反応のない猿飛が気になって見てみると、猿飛はうつむいていた。


(…やっぱり趣味悪かったかもなぁ〜…)


次の瞬間、こいつはガバッっと顔を上げて言ったんだ…




「先生…ありがとう…っ!!」



それも、泣きながら笑顔で…


何か照れくさくて、仕返しとばかりに猿飛の髪をぐしゃりとしてやる。


「何するんですか、伊達男さん!!」


「なっ…だ、伊達男…!?」



「…全く…ネックレスなんて先生がくれるなんておかしいと思ったんですよ」


「お前なぁ…俺だって贈り物くらい…」


「あらかた水野先生の影響ですよね」


「…お前の中の俺の認識って一体……」


俺が落ち込んでいるとこいつは言った。



「……でも好きですよ…?」


「猿飛……!??」






「桜の花っ!!」


「だよなっ!!俺も好きなんだよなぁ〜桜」


……こうして俺と猿飛は“桜愛好同盟”を組んだのだった