私と先生はフェンスによそりかかって花火を見ることにした。
「まだ始まらねぇのかなぁ…花火…」
「……どれだけ花火好きなんですか、先生…」
「そうだなー……。三度の飯より花火って位だな!!」
(……そんなに花火の価値大きいの!?)
そんな他愛ない話をしていると、独特な音があたり一面に響いた。
ドンッッ………!!
闇夜に咲く、儚くて美しい大輪の光の華……
あれ程五月蝿かった周りの話し声は、いつの間にか歓声に変わっていた。
ふと気になって隣の先生を見ると、見たことがないほど切ない表情をしていた。
先生はこんなに近くにいるのに、今はとても遠く感じる。
同時に、自分でも何とも言えない懐かしさが感じられた。
(…何でこんなに懐かしいんだろう…?…まるで過去にも見たことがあるような情景…)
せっかくの花火で考え事をするのが勿体なくて、私は考えるのをやめ、闇夜に目を戻した……
