そして、さくらがくじを引く順番になった。


さくらは箱に手を入れる前に、きゅっ、と目をつぶって引いた。



「……22番……」



男子の皆がざわめき始める。
そして名乗りを上げたのは……




「…私です……」


「!!」



案の定、水野であった…。

互いに見つめ合って、違う世界にトリップしている2人は気付いていないが、
この時クラスメイト達は一斉にピースサインをしていた。



「なつめ!!私、や…った…よ……っ…!?」


勝利宣言をしようとしたさくらがフラつき、倒れそうになったのを支えた勇者がいた。



「…大丈夫ですか、さくらさん?どこか具合でも……」



「み、水野先生っ…!!あ、ありがとうございます…!!すっすみません迷惑ばかり…」



「いえ、気にしないで下さい、ね?」



((この2人が付き合っていないのが不思議だ……))


改めてクラスが団結した瞬間だった…


2人の甘い空気の中、勇気を振り絞って毛利が言った。


「なつめ、くじ引きなよっ!!」


「(貴方は勇者だわ…)う、うんありがとう!!」