和佳が大学を去ったのは、赤ちゃんができたから。 その赤ちゃんは、この世の地に足をつけることはなく、和佳の顔も、この世の景色も見る事無く、静かに眠った。 「そうだったんだ・・・。」 「そうだよ。」 「でも、子供欲しくなかったからおろすなんて・・・」 「気を付けてたけどさ。仕方なかったの。」 何それ・・・。 「仕方なかったって。どうしてそんな言葉で片付けられるの?」 『仕方なかった』という和佳の言葉に腹が立ち、つい言ってしまった。