「聖也、彼氏さんにシャツ作ってあげなよ。」 「わたしは、お父さんに作ろうと思う。」 「お父さん??」 「うん。 あぁ見えて彼着るものにうるさくて・・・。上達してから作ろうかと・・・。」 「なるほど・・・。 お父さんは実験台ってわけね。」 「そう。 実験台。」 茉里と顔を見合わせて笑った。 でも心は笑ってなくて。 きっかけがほしかったんだ。 お父さんに会うきっかけが。 あの日、わたしをかばったまま警察に連れて行かれたお父さん。 お父さんはまだ塀の中にいる。