家に帰った聖也は、

 「ありがとう。」

と俺に頭を下げた。



 「どうしたんだ? 」

俺は聖也を抱きしめた。



 「先生、わたし頑張ったよね。 ねぇ。 でもでも、遅かったのかなぁ? 」

俺の胸の中で聖也が泣いてる。


俺は、聖也の涙をどれだけ見てきただろうか?

人よりも苦労も悲しい思いも寂しい思いもいっぱいしてきた聖也が何でこれ以上苦しまなきゃいけないんだ。



 「聖也、お父さんの目治るよ。 」

俺は言い切った。


 「先生??? 」


 「俺がなんとしても治してみせる!! 」


 「本当??? 」


 「あぁ。 だからもう泣くな。 」


 「うん。 」


俺の胸の中で小さく頷いた。