すると、萌恵が息を切らしながら駆け寄ってきた。 「 ……スー…っ!! 大変…荻原くんが…っ 」 神様は、意地悪だ。 逞のこともそうだった。 大切な人をいつもわたしから奪う 萌恵の言葉を最後まで聞かずに、わたしは大勢の人の中に潜り込んだ。 人が多すぎてなかなか進めない。 それでもなんとかして抜けた時、目に映ったのは、 血だらけの荻原くんだった。