「ミロのこと?」手元にある緑のパックを手に取って見せる。ちなみにカエデとヒナタは私の子供たちの名前である。
ナツはコクリと頷いた。

「胃ニ優シイモノガ飲ミタイノデス」

「今さら胃の心配…」

ハルが小声で呟く。無理もない。ナツの周りには色々な瓶が転がっている。

私は苦笑いしながら大きめのマグカップに暖かいミロを作り、ナツに渡した。ナツはそれを小さくふう、と冷ます。

「私が飲んじゃってもあの子たちの分ある?」

「大丈夫。なくなったら買えばいいでしょ?」

私が笑うとようやくナツはコップに口をつけた。
こういうところナツは優しくて可愛いと思う。

「なんかごめんね。忙しい時間に押しかけちゃって…でもお分かりの通り、私だけじゃちょっと相手出来なくて…」

ハルが申し訳なさそうに謝る。いいよ、そんな他人行儀な仲じゃないでしょ?と私が笑う。


「それにもう慣れたわよ。その…ナツが浮気されるのには」


なるべく微笑みに近い顔を作ったつもりだがひきつっているのが自分でも分かる。

多分目の前のハルと同じ顔をしているに違いない、と私は思った。