妻は、僕を指さして、


「春美ちゃんの恋人?」そんな風に春美に聞いたりしていたこともあった。



ある日、僕はとうとう妻を病院に連れていった。



入院が決まり、自宅に戻った僕は、



妻の荷物をまとめ始めた。



これからしばらくは、妻は入院していない。



正直、ほっとする。



春美と明と三人で暮らしていこう、と考えていると



妻が台所から包丁を持って来た・・・



「どうしたんだ、冬美。



危ないからそんなものを持ってくるんじゃな・・・い・・・」




包丁が眩く光り、




冬美は、無言でその包丁を一気に僕の心臓へ突き刺した。



僕の返り血を浴びて、



真っ赤になった妻の表情は、満足そうだった。




「ね、あなた。春美ちゃんとは、



私が産で実家へ戻っていた時から




関係が出来ていたのでしょう?」




「―ふ、冬、美・・・」




体の力が抜けて、




崩れ落ちるようにうずくまる僕を見降ろしながら妻が静かに続ける。



「私が入院している間、



明は春美ちゃんが育ててくれるから心配しないでね。




あの子にも罪を償ってもらわなくちゃ」




妻の本当の笑顔を見た僕は、




そのまま意識が遠のくのを感じたー



   (END)



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