でも、日に日に妻は、



僕が好きだったあの頃の妻ではなくて、




ただの見知らぬ女のように感じられた。



妻自身は、日々の家事をしながらも、



時々、通じてもいないおもちゃの電話に



「もしもし、春美ちゃん?」と話しかけていた。



『春美』というのは、



妻の2歳年下でまだ独身の妹の名前だ。




妻は実妹の春美のことは、忘れていなかったようだ。