「あのね…今日拓也に残ってもらったのは言いたいことがあるからで…」 ………… どうしよう 言葉が続かない。 続かないよ…。 鞄の中に手を突っ込んでチョコを出そうと思っても、動かない。 いつもはあんなにベラベラしゃべるのに口だって動かない。 嫌な空気が流れて、 時間だけが過ぎていく。 「俺さぁ、好きな子いるんだよね」 「え……」 拓也の耳を塞ぎたくなるような言葉でようやくあたしは声を出した。