秋祭りから数十日後、陸雷高校の放課後はとんでもないことになっていた。



「買い出し行くヤツ挙手ー!」

「じゃれてないで早くやんなよ」

「えーヤダー、ネイル剥がれちゃうし」



教室や廊下に響き渡る生徒たちの声。



「木崎さん、これここに置いとくよ」

「あ、はい」


みんなで仲良く制作作業……のはずなんだけど。


なぜか作業は一向に進まず、ケンカも度々。



この時期、陸雷高校はもうすぐやってくる学校祭に向けての準備で大忙しだった。

浮かれ気分に問題も多発の毎日。



そして最近、なんだか様子がおかしい友達がいる。


「なぁみくる、太陽知らねぇ?」

「あ、翼、一緒に隣の教室の準備してたんじゃなかったの?」


あたしは先程渡されたはさみを手に取り、色紙を切りつつ聞き返す。



「いや、それが気づいたらいねぇんだよ」

おかしいと首を捻って辺りを見回す翼。


それもそのはず。

ここのところ、どうやら太陽は知らぬ間に姿を消すらしい。


話を聞くと、なんだか様子もいつもと違うみたいで。