雑誌を読みながら そんなことを考えていると 不意に肩を叩かれた。 『あの…美術に興味あるんですか?』 同じ雑誌を手にとった 素敵な店員さんの手は 良い具合に黒ずんでいた。 美術をやってるんだな ってすぐにわかった。 「高校のときまでやってました」と私が答えると 彼は目を見開いた。 『もしかして、あの、油絵で賞を取っていませんでしたか? ほら、確か名前は…』