「彼氏いらないっていうのは本当なの。
ひでくんはお兄ちゃんみたいで、私を助けてくれてるの。
これからも彼氏にはならないと思う。」


真っすぐ俺を見つめて話す。

伝えたいという気持ちが伝わって来ていた。


「私ね、本当だったら今頃主婦してたの。
子供もいて、平凡に幸せだったはずなの。」

「えっ…?」

「籍を入れる寸前だったの。
籍を入れる日が近かったから、籍を入れたときに子供が出来た事を報告するつもりだったの。」


もうすでに希美は泣きそうだった。

「いいよ。もう話さなくていいよ。思い出すな。」