好きな人が出来たから、他の人に触られる事に躊躇いが出たの。
別の人の手なのに、木立連の手だと勘違いしてしまいそうになる・・。
強引なでも優しい大きな手を、思い出してしまう・・。
「好きな奴・・・って・・・」
瑞穂の声に、何か焦りを感じながらも私は黙ったまま俯いている。
「・・・あいつ?」
・・・あいつ?
下げている顔をあげると、瑞穂は別の方向を向きながらその向きを指している。
瑞穂の右手の親指が指す方向に、顔を向けると茶髪で赤メッシュの・・木立連が立っていた。
3年教室のドアの前に群がる女子に笑いかけながら、何か話している様子。
それだけ見ただけで、胸が悔しい程ムカムカした。
馴れ馴れしく話しかけないでよ。
やめてよ、こっちを見てよ。
自分らしくもない、言葉と嫉妬がどんどん胸の中を占領していく。


