「何考えてんのか分かんないけど、俺の大事なやつ傷つけたらお前タダじゃ済まないから」
瑞穂は連の肩に手を置き、横を通り過ぎていった。
「連、大丈夫?」
固まった連に声をかけると連は笑って
「沢先輩って裏表激しっ」
なんていいながら、腹いてぇーと笑い続けていた。
連がどうしてそんなに笑うのか。
瑞穂に裏表があるのかとか。
私にはよくわからないけど…。
ひとしきり笑い終えたようでふうと息を吐いた連の手をそっと横からつかんだ。
「えっ?」
間抜けな声をだして驚いたかと思うと今度は私の手を強く握り返した。
「…連、痛い」
「ははっ幸せ過ぎて、おかしくなりそう」
手の痛みも抜けるようなあどけない笑顔を向けて言った連に私は何も言い返す言葉なんてなくて。
ずるい笑顔だな…と許してしまった。


