花には水を





「妃世~お兄ちゃん疲れてるだろうから、ほどほどにしときなさい」




母さんの声だけきこえる。



そうだ、忘れていたけど此処は玄関だ。




危ない、妃世の可愛さについ忘れてた。


「はあい、兄ちゃん。お着替えしたらあしょぼ」



抱き上げた所から降すと、妃世は悲しそうに返事をしてお願いするように小首をかしげた。




「ああ、いいよ。ちょっとだけ待っててな」




笑いかけて言うと、そのまま自分の部屋に向かう。


ドアを閉めた途端俺の口からは大きなため息が出た。



疲れた、疲労でいっぱいだ。




立花灯と話すってこんなにも緊張するんだな。


でも、話してて冷めてる部分はあったけど…。




「気を付けて…ね」


彼女が俺に言った言葉。



それを繰り返した俺の頬はいつしか緩んでいた。